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シルガード9(9価ワクチン)の公費接種はいつまで?効果や受けるべき理由

「もし将来、自分の子どもが、がんと診断されたら」 と想像して、漠然とした不安を感じたことはありませんか。 シルガード9は子宮頸がんや尖圭コンジローマなどを引き起こすHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を防ぐワクチンです。
この記事では、シルガード9の効果や安全性、公費接種の対象かどうかを確かめる方法について、わかりやすく解説します。大切なお子さんの未来の健康を守るため、正しい知識を身につけましょう。
もくじ
シルガード9とは?効果と安全性の基礎知識

シルガード9は、HPVワクチンのなかでも多くの種類のウイルスに対応できるワクチンです。
ここでは、シルガード9の基礎知識について次の4つを詳しく解説します。
①効果
シルガード9は、がんの原因となる7種類のHPV型と、尖圭コンジローマの原因となる2種類のHPV型を予防対象としています。
シルガード9を接種すると、子宮頸がんの約80~90%の原因とされているHPV感染を防ぐことが期待されています。(※1)
シルガード9は、以下の病気にも予防効果が見込まれています。(※2)
- 子宮頸がん
- 外陰がん
- 腟がん
- 肛門がん
- 陰茎がん
- 口腔咽頭がん
- 尖圭コンジローマ(性器や肛門の周りにできるいぼ)
ワクチンを接種しても、すべての子宮頸がんを100%防げるわけではありません。シルガード9接種後も定期的に子宮頸がん検診を受けることが病気にならないためには重要です。
②予防接種のスケジュール
予防接種回数は、接種を始める年齢によって異なります。一般的に若い年齢で接種した方が、少ない回数で十分な免疫を獲得できます。
9〜14歳で開始する場合は2回接種で、1回目を打ったあと、2回目は6〜12か月後に行います。15歳以上で開始する場合は3回接種で、1回目のあと、2回目を2か月後、3回目を6か月後に行います。
こちらはあくまでも目安ですが、仮に接種間隔が空いてしまっても一定の効果はあるとされているのでやり直す必要はありません。
③副作用
シルガード9で報告されている副作用は、ほとんどが注射した部位の症状です。痛みや赤み、腫れ、かゆみ、内出血などの症状が出る場合があります。体に現れる症状は頭痛や発熱、吐き気、だるさ、筋肉や関節の痛みです。
ごくまれですが、強いアレルギー反応であるアナフィラキシーショックなどが起こる可能性もあります。接種後は15~30分ほど医療機関内で安静にし、体に異変を感じたら、すぐに医師や看護師に伝えましょう。
④男性への効果
HPVは女性特有のウイルスだと思われがちですが、男性にも感染し、さまざまな病気を引き起こします。シルガード9を男性が接種することで、HPV感染が原因となる肛門がんや陰茎がん、口腔咽頭がん、尖圭コンジローマの予防につながります。
長期的な視点で見れば、大切なパートナーへの感染を防ぐことにもつながるでしょう。HPVは主に性交渉によって感染が広がります。男女ともに接種が広がることで、社会全体の感染拡大を抑える効果も期待できます。
予防接種を受ける方法

HPVワクチンの接種には、国や自治体が費用を負担する「公費接種」と「キャッチアップ接種」、全額自己負担となる「自費接種」の3つがあります。
ここでは、シルガード9の予防接種を受ける3つの方法について、詳しく解説します。
①公費接種
公費接種とは、国が推奨する定期予防接種に位置づけられており、接種費用を自治体が負担する制度のことです。対象となる方は、原則として無料でシルガード9の接種を受けられます。
対象となる方は小学校6年生~高校1年生相当の年齢の女性です。(※3)多くの場合、対象年齢になるとお住まいの市区町村から通知や予診票が郵送されます。接種を希望する場合は、案内に従って実施医療機関で予約してください。
対象となる年齢を過ぎると自治体に費用を負担してもらえなくなるため、スケジュールは余裕を持って受けましょう。
②キャッチアップ接種
キャッチアップ接種とは、HPVワクチンの接種勧奨が差し控えられていた期間に、受ける機会を逃してしまった方を対象とした制度です。対象年齢を過ぎてしまった方にも、あらためて接種の機会を提供するために設けられた特例措置となっています。
対象となる方は、平成9~20年度生まれの方(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性です。実施期間は2025年の3月末までと終了していますが、キャッチアップ接種を1回以上接種した方は、2026年3月末までなら残りの予防接種を公費で受けられます。(※4)
対象となる方は、早めに検討を始めてください。ご自身の接種歴は母子健康手帳で確認できますが、もし不明な場合は市町村の窓口に相談してください。
③自費接種
公費接種やキャッチアップ接種の対象外の方も、ご自身の希望により全額自己負担でシルガード9を接種することができます。シルガード9は、予防接種の対象が女性のみでしたが、2025年の8月から9歳以上の男性への接種も可能になりました。(※5)
自費接種の費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり30,000~40,000円、3回接種の場合の費用は90,000~120,000円程度になります。予防接種を希望する場合は、医療機関に予防接種ができるか確認しましょう。
シルガードに関する質問

ここでは、シルガード9に関する質問に一つひとつお答えします。
2価・4価ワクチンとの違いは?
HPVワクチンには、主に2価、4価、9価の3種類があります。これらの最も大きな違いは、予防できるHPVの型の数です。数字が大きいほど、より多くの種類のHPV感染を防ぐことができます。

現在、日本の公費接種で使われているのは、主にシルガード9(9価ワクチン)です。日本の子宮頸がんの発生率と死亡率を減らすためには、9価ワクチンを接種することが重要です。(※6)
副作用が起こった時の対処法はありますか?
ワクチン接種後は、体が免疫をつくる過程で、注射した部分の痛みや腫れ、赤み、発熱、頭痛、だるさなどの副反応が出ることがあります。多くは一時的で、時間とともに落ち着いていきますが、症状の程度には個人差があります。
注射した場所の痛み・腫れ・赤みが気になるときは、清潔な濡れタオルや、タオルで包んだ保冷剤などを当てて冷やすと、つらさが和らぐことがあります。
発熱や頭痛、だるさがある場合は、水分をしっかりとり、無理をせず体を休めましょう。接種当日は激しい運動や長時間の入浴は控え、体調の変化がないかを見ながら過ごすのが基本です。
一方で、息苦しさ、じんましん、けいれん、手足の脱力、しびれなど、普段と違う強い症状がみられる場合は、早めに医療機関へ相談してください。判断に迷うときも、接種を受けた医療機関に連絡して確認するとよいでしょう。
女児だけでなく男児も受けた方がいいですか?
HPVの主な感染経路は性交渉で、男性にも感染しさまざまな病気を引き起こす可能性があります。男児もがんや病気になるリスクを減らすことができます。
男児が予防接種を受けることで、口腔咽頭がんや陰茎がん、肛門がん、尖圭コンジローマにかかるリスクを減らします。(※2)
シルガードは、20205年8月から9歳以上の男性も予防接種を受けられるようになりました。(※5)予防接種費用は自費のため、1回の接種につき、30,000~40,000円程度かかります。
ただし、多くの自治体が独自の助成制度を開始しており、小学6年生〜高校1年生の男子が対象です。助成制度を利用することで、接種費用の一部または全額が公費でカバーされ、自己負担を大幅に軽減、あるいは無料で接種できる場合があります。
男児への接種の考え方などについては、別の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
男性へのHPVワクチン接種|男児でも受けられる時期とメリット
他のワクチンと接種できますか?
HPVワクチン(シルガード9など)は、新型コロナワクチン以外の多くのワクチンと同時接種が可能です。一方で、新型コロナワクチンと同時に受けることはできず、前後で少なくとも2週間あける必要があります。
たとえば、インフルエンザワクチンは毎年接種する方も多いですが、HPVワクチンと同じ日に受けられるケースもあります。予定が詰まりやすい時期は、同時接種で通院回数を減らせることもあるため、予約時に医療機関へ相談するとスムーズです。
なお、異なる種類のHPVワクチン(例:2価と9価)を交互に接種することは原則避けるべきとされています。接種の組み合わせやタイミングで迷う場合は、母子手帳(接種履歴)を確認したうえで、医師と相談しながら進めましょう。
治療効果もありますか?
HPVワクチン(シルガード9)は、すでに体の中にいるウイルスを退治したり、病気を治療したりする目的のワクチンではありません。いま出ている症状を改善するものではなく、将来の感染を防いで、子宮頸がんなどのリスクを下げるための予防接種です。
そのため、接種したからといって、すぐに体調が良くなる、検査結果が改善するといった即効性は期待できません。一方で、感染する前のタイミングで接種しておくことで、ワクチンの予防効果が十分に発揮されやすいとされています。
まとめ
シルガード9は、がんの原因となる多くのHPVの感染を防ぐ効果の高いワクチンです。お子さんが対象かどうかわからない場合も、まずはお住まいの自治体の情報をご確認のうえ、かかりつけ医などの医療機関に相談してみましょう。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、お子さんのHPVワクチン接種に関するご相談や接種のご案内も行っています。お子さまのこと、少しでも気になることがあればお気軽にご相談ください。
参考文献
- 国立がん研究センター:「子宮頸がんの予防・ワクチン」
- Cheng L., Wang Y., Du J. Human Papillomavirus Vaccines: An Updated Review. Vaccines,2020,8,3,p.391.
- 厚生労働省:「ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」
- 厚生労働省:「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンのキャッチアップ接種について」
- 厚生労働省:「HPVワクチンの男性への接種について」p.6
- Palmer M., Katanoda K., Saito E., Acuti Martellucci C., Tanaka S., Ikeda S., Sakamoto H., Machelek D., Brotherton J.M., Hocking J.S. Genotype prevalence and age distribution of human papillomavirus from infection to cervical cancer in Japanese women: A systematic review and meta-analysis. Vaccine,2022,40,41,p.5971-5996.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
