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赤ちゃんのヘッドバンキングは大丈夫?よくある原因と対処法

赤ちゃんが突然、ベッドの柵や床に「ゴン、ゴン」と頭を打ちつけ始めたら、驚くと思います。「どこか痛いのでは?」「何か病気のサインだったら」と心配になるでしょう。
赤ちゃんが頭を打ちつける行動は「ヘッドバンキング」と呼ばれ、生後9か月〜1歳半頃に見られる正常な発達過程の一つです。(※1)自分を落ち着かせるためのリズム運動や感情表現であり、5歳頃には自然に落ち着くことがほとんどです。
この記事では、赤ちゃんがヘッドバンキングをする主な原因から、家庭ですぐに実践できる対処法、自閉症との関係を解説します。一人で悩まず、安心できる子育てにつなげましょう。
もくじ
ヘッドバンキングとは頭を打ちつける反復行動のこと

ヘッドバンキングとは、頭を打ちつける反復行動です。眠い時や退屈なときに、頭はリズミカルに前後に動かします。
赤ちゃんに自然に見られる行為とはいえ、「大丈夫かな」と心配になるのも無理はありません。ここでは、ヘッドバンキングが見られる時期や、自然に治るものなのかについて見ていきましょう。
ヘッドバンキングが見られる時期
ヘッドバンキングは、生後9か月頃〜1歳半頃に最もよく見られるようになります。(※1)5歳頃までには頻度が減ってくることが多いとされており、眠いときや入眠前の他、感情が高ぶったとき、退屈しているときに起こりやすいとされています。
生後9か月〜1歳半頃の赤ちゃんは、自分の体を思うように動かせる楽しさを覚え、感情の表現方法を学んでいる最中です。ヘッドバンキングは、赤ちゃんが自分で心地良いリズムを作って安心感を得たり、高ぶった気持ちを落ち着かせたりする行動と考えられています。
ヘッドバンキングは、男の子にやや多いという報告もありますが、性別に関わらず見られる正常な発達の一過程と考えられています。(※1)
多くの場合は成長とともに自然に消失する
ヘッドバンキングは一過性のものであることがほとんどです。生後9か月では、赤ちゃんの半数以上でみられますが、5歳になると数%に減少すると報告されています。(※1)
ヘッドバンキングが成長とともに消失するのは、言語化の力が発達するためです。体の動きで伝えなくても、言葉を使ったコミュニケーションで他人に自分の気持ちを伝えられるようになります。
感情をコントロールする手段も身に付くことで、ヘッドバンキング以外で感情・ストレスを発散できるようにもなるでしょう。
赤ちゃんがヘッドバンキングをする主な原因3つ

ここでは、赤ちゃんがヘッドバンキングをする3つの原因について解説します。
①眠いときや入眠前のリズム運動として行っている
赤ちゃんがヘッドバンキングをする理由は、眠いときや寝る前の「リズム運動」です。眠くなると、赤ちゃんは自分で心地良いリズムを作り出して、安心感を得ようとするためです。
ヘッドバンキングは、大人が赤ちゃんを寝かしつけるときに、背中を優しく一定のリズムでトントンと叩いたり、揺らしたりするのと似ています。赤ちゃんは、頭を打ちつけることで生まれる一定のリズムや振動で、自身を落ち着かせ、スムーズな眠りに入ろうとします。
ヘッドバンキングをしても、赤ちゃん自身が痛がったり苦しんだりする様子がなければ、過度に心配する必要はありません。成長とともにほかの方法で眠りにつけるようになると、自然と見られなくなっていきます。
②感情表現や自己刺激としてのくせ
言葉で自分の気持ちをうまく伝えられない赤ちゃんは、体全体を使って感情を表現します。ヘッドバンキングも、心や体の感情表現のサインの一つとして現れることがあります。
ヘッドバンキングで伝えようとする主な感情は、欲求不満や怒り、興奮、喜びなどです。親の注意を引くために行なっている可能性もあります。
退屈なときや、周りからの音や光などの刺激が多くて混乱しそうなときにも、ヘッドバンキングが行われる場合があります。自分の体に刺激を与えて感覚を確かめたり、脳への刺激を調整したりする行動です。
ヘッドバンキングは、自分の行動に集中することで心地良い状態を保とうとする、一種の自己調整機能です。発達の過程でごく自然に見られる行動であり、多くは成長とともに落ち着いていきます。
③睡眠障害が影響している可能性
ほとんどのヘッドバンキングは心配ありませんが、睡眠障害が影響している可能性があります。寝つきが悪い、夜中に何度も目を覚ます、ぐっすり眠れていないなど睡眠の質に問題があると、不快感からヘッドバンキングにつながることがあります。
まず大前提として、ヘッドバンキングがあるだけで自閉症スペクトラム症(ASD)を疑う必要はありません。そのうえで、自閉症スペクトラム症(ASD)のある子供では、睡眠に関する課題を抱えている割合が高いことが研究で示されています。(※2)睡眠を促すホルモン(メラトニン)の分泌リズムの乱れや、音・光などの刺激に対する過敏さが、入眠や睡眠の維持が困難な原因です。
ただし、ヘッドバンキングがあるからといって、すぐに睡眠障害を心配する必要はありません。睡眠障害か判断したい方は、以下のようなことが起こっていないか確認してください。
- 睡眠中に大きないびきをかいたり、呼吸が数十秒止まったりする
- 夜泣きが激しく、一度起きるとなかなか寝付けない日が続く
- 日中に極端に機嫌が悪かったり、逆に眠そうにしていたりする
このような様子が続く場合は、一人で抱え込まず、専門の医療機関に相談しましょう。
家庭でできるヘッドバンキングの対処法

ハッドバンキングは成長すると落ち着くとはいえ、「何か対策できないだろうか」と不安に感じますよね。ここでは、家庭で実践できるヘッドバンキングの4つの対処法を解説します。
しばらく様子を見る
ヘッドバンキングが始まったからといって、すぐに対応が必要なわけではありません。多くは一過性のため、慌てずに、お子さまの様子を観察することが大切です。
以下の状況であれば、心配せず見守ってあげましょう。
- 眠いときや寝る前、起きた直後など、特定の時間帯にだけ見られる
- ヘッドバンキングの時間は数分程度で、自然に終わる
- 頭を打ったあとに、本人が特に痛がったり泣いたりしていない
- 声をかけたり、別のおもちゃで気をそらしたりすると行動が止まる
- 日中は元気に遊び食欲もあり、機嫌良く過ごしている
赤ちゃんは、自分で心地良いと感じる範囲で、ヘッドバンキングの力を調整していることがほとんどです。ヘッドバンキングによって脳に深刻なダメージが及ぶような大けがに至ることは、極めてまれだと考えられています。
無理に行動をやめさせようと大声を出したり、体を押さえつけたりすると、かえってお子さまの注目を集めてしまいます。注目が集まることで、気を引くために行動がエスカレートすることがあるでしょう。
欲求不満が原因の場合、その気持ちを抑えつけられることが新たなストレスになります。落ち着いて、どのようなときにヘッドバンキングが起こるのかを観察しましょう。
クッション材で頭を保護し安全な環境をつくる
ヘッドバンキングによるけがを防ぐために、安全な環境を整えることが大切です。家庭にあるものや市販のグッズを上手に活用し、頭をぶつけやすい場所を徹底的に保護しましょう。
特に壁や家具の角には注意が必要なので、コーナーガードやクッションシートを貼ってください。ベビーベットに関しても、柵を保護したりネジが緩んでいないかを定期的にチェックしたりしましょう。
運動遊びや抱っこで刺激欲求を満たす
ヘッドバンキングが見られたら、体を使った遊びや抱っこ、リズムを楽しむ遊びなどで赤ちゃんの刺激欲求を満たしてあげましょう。
ヘッドバンキングをやめさせるには、ヘッドバンキング以外の方法でお子さまの「刺激欲求」を満たすことが大切です。公園やお家で体を動かす遊びを積極的に取り入れてください。抱きしめたり、高い高いをしたりして触れ合う時間を作ることも欠かせません。
入眠前の落ち着いたルーティンを整える
入眠前に落ち着けるルーティンを行うことも、ヘッドバンキングの対処法です。
ヘッドバンキングは、眠いときや寝る前に多く見られます。毎日寝る前に同じ流れで過ごすルーティーンを取り入れることで、心と体をスムーズにリラックスモードへ移行させられます。
お風呂でのリラックスや寝室での穏やかな活動、おやすみの挨拶などが有効です。毎日できるだけ同じ時間帯に行うことが大切です。毎日の行動が「もうすぐ寝る時間」という合図となり、赤ちゃんも落ち着いていきます。
やってはいけない対応
下記のような対応をしてしまうと逆効果になるので注意しましょう。
・大声で叱る、強く制止する
・無理に頭を押さえつける
・周囲が過剰に反応する
このような対応は、これらは赤ちゃんの不安を強めたり、「注目を集める行動」として赤ちゃんが認識してしまうことがあるので、要注意です。
ヘッドバンキングがひどい場合は医療機関の受診が必要

以下の項目に当てはまる様子が続く場合は、一人で抱え込まず、医療機関に相談することをおすすめします。

これらのサインがあるからといって、すぐに特定の診断がつくわけではありません。心配な点を医師に相談することで、保護者の不安が和らぎ、お子さまへの適切な関わり方が見つかることもあります。
まずは、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。必要に応じて、小児神経科や発達を専門とする外来を紹介してもらえます。
ヘッドバンキングに関するよくある質問

親御さんからよく寄せられる、ヘッドバンキングに関する質問に回答します。
①ヘッドバンキングは自閉症のサイン?
ヘッドバンキングが見られるだけでは、自閉症スペクトラム症(ASD)と診断されることはほとんどありません。ヘッドバンキングはあくまで行動の一つであり、診断のためには、行動の背景にある発達の全体像を見ることが重要です。
ヘッドバンキングに加えて、以下のような様子が2つ以上継続して見られる場合は、一度専門家への相談を検討しましょう。

ただし、これらのサインはあくまで目安です。当てはまるからといって、必ずしも自閉症というわけではありません。
②いつまで続くのが正常範囲?
ヘッドバンキングは、一般的に生後9か月頃から見られ始め、1歳半〜2歳頃に頻度が高くなるといわれています。多くの子供は心と体が成長するにつれて、5歳頃までには自然となくなります。
5歳を過ぎてもヘッドバンキングの頻度が減らず、激しくなっている場合は、医療機関に相談しましょう。言葉の遅れやコミュニケーション面など、ヘッドバンキング以外で発達の遅れが気になるときは注意が必要です。
ただし、発達のペースには個人差がある点は頭に入れておいてください。
③無理にやめさせるべき?
多くの場合、ヘッドバンキングは、子供にとって自分を落ち着かせたり、気持ちを伝えたりするための自己表現の手段です。ヘッドバンキングを無理やりやめさせることは、逆効果になることが多く、おすすめできません。
ヘッドバンキングをやめさせられると、子供は自分の気持ちを否定されたように感じ、かえって不安を強めてしまう可能性があります。気を引くために、行動がエスカレートしてしまうこともあるでしょう。
ヘッドバンキングは、お子さまが一生懸命に自分の心と体をコントロールしようとしている成長の証でもあります。行動の裏にあるメッセージを読み解き、安心できる関わりを心がけてみましょう。
まとめ
ヘッドバンキングの多くは成長の過程で見られる自然な行動です。無理にやめさせようとするのではなく、クッションなどで安全な環境を整えてあげることが大切です。
スキンシップや体を使った遊びを通して、お子さまの気持ちを満たしてあげましょう。行動が激しい、5歳を過ぎても続く、言葉の遅れなどほかに気になるサインがある場合は、専門機関に相談することがおすすめです。
ヘッドバンキングは子供からの大切なサインです。専門家の力も借りながら、お子さまの成長を温かく見守ってあげましょう。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、ヘッドバンキングを含む赤ちゃんの発達に関する相談を受け付けています。心配なことがあれば、いつでもご相談ください。
参考文献
- Lam N, Veeravigrom M.Sleep-related rhythmic movement disorder in children: a mini-review.Frontiers in Neurology,2023,14,1165130.
- Kotagal S, Broomall E. “Sleep in children with autism spectrum disorder.” Pediatric neurology 47, no. 4 (2012): 242-51.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
