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赤ちゃんの逆さまつげ|涙目・充血は大丈夫?自然に治る目安と受診のタイミング

赤ちゃんの目がいつもウルウルしていたり、白目が赤くなっていたりすると、「痛くないのかな?」「このまま様子を見ていて大丈夫?」と不安になりますよね。
実は、こうした症状の原因として多いのが、赤ちゃん特有の「逆さまつげ」です。
この記事では、赤ちゃんの逆さまつげがどんな状態なのか、自然に治る目安、受診を考えるタイミング、治療の選択肢までを、保護者の方の目線でわかりやすく解説します。
もくじ
赤ちゃんの逆さまつげとは

赤ちゃんの逆さまつげは、まつげが眼球のほうへ向かって生えている状態です。統計によっては、誕生時に40%以上の赤ちゃんにみられるとも言われています。(※1)
逆さまつげには、大きく分けて2つのタイプがあります。
・まぶた全体が内側に入り、まつげが目に当たる「眼瞼内反(がんけんないはん)」
・まぶたの位置は正常でも、まつげだけが内向きに生える「睫毛内反(しょうもうないはん)」
どちらも赤ちゃんにおいては成長に伴って改善することが多いタイプです。
①逆さまつげの原因
赤ちゃんの逆さまつげは、ほとんどの場合、乳幼児特有のふっくらとした顔のつくりが原因です。
赤ちゃんのまぶたは皮下脂肪が多く、クッションのようにふっくらしています。
そのため、まつげの生え際が内側に押され、まつげが目に当たりやすくなります。
逆さまつげは下まぶたによく見られます。赤ちゃんの場合は、生まれつきのまぶたの構造によって起こる逆さまつげで「先天性眼瞼内反」と呼ばれます。
②逆さまつげの症状
赤ちゃんのまつげは細く柔らかいため、目に当たっていても痛みなどを感じにくく、はっきりとした症状が出にくいです。
しかしまつげが目の表面に触れる刺激によって、下記のようなサインが見られることがあります。

逆さまつげの症状は、まつげが目の表面にある角膜(黒目)や結膜(白目)をこすることで生じる、慢性的な刺激や不快感が原因です。涙が多く出る、目が赤いといった症状は、逆さまつげの代表的なサインのため、お子さんの様子をよく観察しましょう。
③逆さまつ毛のリスク
ほとんどの赤ちゃんの逆さまつげは、成長とともに自然に治るため、過度に心配する必要はありません。しかし、まつげが常に眼球に当たっている状態が長く続くと、角膜や結膜に傷がつき、感染症を引き起こす可能性があります。
まれなケースですが、角膜の傷が深くなると視力の発達に影響をおよぼす可能性があります。6歳頃までは視力の発達にとって重要な時期であるため、この期間に角膜に濁りが残ることは避けるほうがいいでしょう。(※2)
逆さまつげによる不快感から赤ちゃんが頻繁に目をこすると、症状が悪化し悪循環に陥ることもあります。症状が長引いたり強くなったりする場合には、悪化するリスクを避けるためにも、一度専門医に相談することをおすすめします。
受診を判断する目安

基本的に症状が軽ければ、慌てて受診する必要はありません。しかし中には、急ぎで医師の診察が必要になるケースもあります。
ここでは、受診を判断するための基準や治療法などについて解説します。
受診の目安となる症状
次のような症状が一つでも当てはまる場合は、角膜(黒目の部分)に傷がついている可能性があるため、一度受診を検討しましょう。
- 目の充血が続いている
- 涙や目やにの量が明らかに多い
- しきりに目をこする、目を気にするそぶりを見せる
- 光をまぶしそうにする
まつげによる眼の刺激や、炎症があるとさまざまな症状として現れます。角膜についた傷から細菌が侵入すると、結膜炎や角膜炎といった感染症を引き起こすリスクが高まります。
感染症は、適切な治療を行わないと視力の発達に影響を与える可能性もゼロではありません。症状が悪化する前に、一度専門家へ相談することが大切です。
受診する科
赤ちゃんの目のことで受診するときは、かかりつけの小児科へ相談しましょう。小児科医は、赤ちゃんの全身状態を総合的に診察する専門家です。逆さまつげの状態を評価し、眼科での専門的な診察が必要かどうかを的確に判断してくれます。
しかし、「白目が真っ赤になっている」「目やにの量が多く、目を開けられない」など、明らかに目の症状が強い場合は、直接眼科を受診してもいいでしょう。子どもの目の疾患を専門に診る「小児眼科」を標榜している医療機関であれば、より詳しい検査や治療が可能です。
どちらを受診すべきか判断に迷う場合は、まず電話でかかりつけの小児科に相談してください。
治療法
赤ちゃんの逆さまつげは、顔つきが変化していく成長過程で自然に治ることが大半です。そのため、治療の基本は「経過観察」となります。
しかし、角膜に傷がついていたり、細菌感染が疑われたりする場合には、以下のように薬による治療が必要です。

医師から処方された抗生物質の点眼薬や眼軟膏は、指示された回数と期間を守りましょう。逆まつげが気になるからといって、ご家庭でまつげを抜いたり、ハサミで切ったりしないでください。
赤ちゃんの顔は不意に動くため、眼球やまぶたを傷つけてしまう危険性があるので、かえって症状を悪化させることにもつながりかねません。気になることは、必ず医師に相談するようにしてください。
手術が必要になるケース

赤ちゃんの逆さまつげは、その多くが成長とともに自然に治っていきます。しかし、点眼薬などの治療を続けても、症状が改善しない場合には手術が検討されます。
具体的には、以下のような状況が続く場合、手術が必要になる可能性が高まります。
- 角膜の表面に傷(角膜びらん)が何度もできる
- 充血や大量の目やになど炎症が慢性化している
- 細菌感染を繰り返し、結膜炎や角膜炎になりやすい
- 赤ちゃん自身が、痛みや不快感から常に目をこすったり、光を極端にまぶしがったりする
視力の発達にとって6歳ごろまでは大切な時期です。角膜に濁りが残ってしまうのは、できるだけ避けたいところです。こうした症状が続く場合は、外科的な治療も検討しましょう。(※3)
①手術方法
一つ目は「埋没法」と呼ばれるもので、細い糸を使ってまぶたの内側を数か所留め、まつげの向きを外側に整える方法です。皮膚を切らないため負担が少なく、腫れも比較的軽く済みます。まぶたが薄めで、逆さまつげの程度があまり強くないお子さまに向いています。
もう一つは「皮膚切開法」といって、まつげの生えぎわに沿って数ミリだけ皮膚を切開し、余分な皮膚や脂肪を取り除いて縫い合わせる方法です。まつげの向きをしっかりと改善でき、効果が続きやすいことが特徴です。まぶたが厚めのお子さまや、逆さまつげの程度が強い場合に選ばれることが多い方法です。
②費用や期間について
赤ちゃんの逆さまつげの手術は、視機能の発達を守るための治療で行うため、健康保険が適用されます。手術費用は数千円〜2万円程度で、どのような手術をするのか、追加の検査などによって変動します。
乳幼児医療費助成制度を利用することで、保険診療の自己負担分が助成され、窓口での支払いは少額で済むことがほとんどです。助成内容は自治体によって異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村の担当窓口にご確認ください。
手術は安全ために1泊2日の入院で行うことが一般的ですが、病院によっては日帰り手術も可能です。手術後、まぶたは2~3日がピーク腫れますが、1~2週間で徐々に引いていくでしょう。
術後は手術の翌日、1週間後、1か月後と定期的に受診してください。
③治療後の注意点
手術が無事に終わった後、きれいに回復させるためにはご家庭でのケアが大切になります。
手術当日の入浴は避け、翌日以降は医師の指示に従ってください。走り回るなどの激しい運動やプールは、血行が良くなり腫れを悪化させる可能性があるので、医師の許可が出るまで(通常2~3週間程度)は控えてください。
ごくまれですが、傷口から細菌が入り感染を起こすことがあります。しばらくはミトンを着けたり、爪を短く切ったり工夫しましょう。
赤みや腫れ、痛みが日を追うごとに強くなる場合は、すぐに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
逆さまつげでよくある質問

赤ちゃんの逆さまつげについて、一度治っても繰り返すのではないか、日常のケアは必要なのか、気になる点はたくさんあるでしょう。
ここでは、保護者の方からよくいただくご質問について、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
再発しますか
赤ちゃんの逆さまつげのほとんどは、成長に伴って自然に治るため、厳密な意味でいうと再発はありません。
手術後の再発率は高くありませんが、お子さまの成長過程での顔つきの変化やまぶたの状態によっては、再びまつげが内側を向いてしまう可能性はゼロではありません。
手術のあとに、もし逆さまつげがまた出てきそうな様子が見られた場合は、まず症状の強さをみながら、点眼薬で様子を見ることがあります。それでも改善しないときは、再度の手術についてご相談することもあります。
気になる症状があれば自己判断せず、まずは手術を受けた医療機関にご相談ください。
予防法はありますか
赤ちゃんの逆さまつげは、まぶたの厚みや皮下脂肪の多さといった、生まれつきの体の特徴が主な原因です。そのため、逆さまつげの発症そのものを完全に防ぐ、直接的な予防法はありません。
一方で、逆さまつげの症状を悪化させないためには予防的なケアは重要です。赤ちゃんの目の健康を守るために、細菌感染などの二次的なトラブルを防ぎましょう。
日常的なケアは必要ですか
逆さまつ毛で眼球にまつ毛が当たると、違和感から赤ちゃんは頻繁に目をこするようになります。症状が悪化しないように、目と手を清潔にするようにしましょう。
また、爪が長いと眼球が傷つくこともあるので、爪も短く切っておくことが大事です。
まとめ
赤ちゃんの逆さまつげは、成長途中の体の特徴による一時的なものがほとんどです。
多くの場合、成長とともに自然に治っていきます。
ただし、目がいつも充血している、目やにが多いなど、気になるサインが見られる場合は注意が必要です。角膜を傷つけ、視力の発達に影響する可能性もあります。
症状が続くときは自己判断せず、かかりつけの小児科や眼科へ気軽に相談しましょう。ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、逆さまつげなど赤ちゃんの目の症状に毎日対応しております。「これって様子を見ていいのかな?」と少しでも迷ったら、それが相談のタイミングです。当院では赤ちゃんの目の症状についても、毎日ご相談をお受けしています。
どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本眼科医会「園医のための眼科健診マニュアル」p.36
- 3歳児健診における視覚検査マニュアル~屈折検査喉乳に向けて~3.視覚の発達
- 一般社団法人 日本頭蓋顎顔面外科学会 形成外科診療ガイドライン「頭蓋顎顔面疾患(先天性・後天性)」
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
