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小学生の便秘対策|子どもに健康な排便リズムを習慣づけるための方法

「うちの子、最近うんちが出ていないかも…」と心配する保護者は少なくありません。実際に日本の小学生11344人を対象に行った調査では、約4人に1人は便秘の疑いがあるという結果でした。(※1)
便秘は単にお腹が苦しいだけでなく、学習や遊びに集中できないなど、日常生活にも影響を与えることが知られています。
この記事では、小学生に多い便秘の、受診を考えるべきサインと原因、さらにご家庭で実践できる便秘対策を詳しく解説していきます。
もくじ
小学生の便秘で受診すべき症状とは?注意したい5つのサイン

子どもの便秘は放っておくと、腹痛や食欲不振につながり、生活の質(QOL)を大きく低下させてしまう可能性があります。早めに医療機関に相談し、適切な対応をとることが大切です。
ここでは、医師に相談を検討すべき「便秘の5つのサイン」を紹介します。
【便秘で見られる主な5つの症状】
①コロコロ・硬いうんちで排便時に痛がる
②3日以上出ない、または少量しか出ない
③お腹の張りや痛み、食欲の低下がある
④トイレを我慢する、下着にうんちがつく(遺糞症)
⑤血が混じる・強い腹痛を訴える
①コロコロ・硬いうんちで排便時に痛がる
うさぎのフンのようにコロコロとした便は、腸内に長くとどまって水分が吸収されすぎているサインです。硬い便を出すときに肛門が切れて強い痛みを伴うことがあり、その経験としてうんちを我慢するようになってしまいます。
排便のたびに顔を真っ赤にして力む、おしりの痛みで泣いてしまう、トイレを嫌がるなどの様子が見られたら、注意が必要です。まずは症状を和らげ、「痛くない排便」を経験させてあげることが、便秘改善の第一歩になります。
②3日以上出ない、または少量しか出ない
排便の回数には個人差がありますが、国際的な診断基準では「週に3回未満」が便秘の目安とされています。ご家庭での目安は「3日以上まったく出ない」場合です。その際は医療機関への相談を検討してください。
また、排便の「量」にも注意が必要です。毎日少しずつしか出ていない場合は、腸の中に大量の便が溜まっている「隠れ便秘」かもしれません。
隠れ便秘を疑うサイン
- 毎日トイレには行くが、スッキリしないという
- 排便に長い時間がかかる
- 硬くて小さい便が少量しか出ない
- おならが増えたり、においが強くなった
排便状況を客観的に把握するためには、「排便日誌」が役立ちます。便の形や量、痛みはあったかなどを記録しておくと、診察時に正確な情報を医師に伝えることができます。
③お腹の張りや痛み、食欲の低下がある
便秘が長引くと、腸内に便やガスが溜まり、お腹がパンパンに張ることがあります。
その結果、胃が圧迫されて食欲が落ち、体重減少や発育不全になることも考えられるでしょう。
「お腹が痛い」と頻繁に訴える、食事の量が明らかに減っている場合は、成長に必要な栄養素が不足することもあるため、早めに医師へ相談することが大事です。
④トイレを我慢する、下着にうんちがつく(遺糞症)
学校のトイレを避けたり、遊びに夢中になって我慢する習慣がつくと、便秘は悪化しやすくなります。便意を繰り返し我慢しているうちに、脳がサインを感じにくくなり、慢性便秘につながることも。
さらに進行すると、「遺糞症(いふんしょう)」という症状が現れることがあります。これは、腸内に溜まった硬い便の塊のすき間から、軟らかい便が漏れ出して下着を汚してしまう状態です。
本人が漏れに気づいていないこともあり、「下着をわざと汚しているのでは?」と叱ってしまうかもしれませんが、実際にはお子さんが一番つらい思いをしています。
繰り返す場合には、背景に深刻な便秘があると考え、医師の診察を受けましょう。
⑤血が混じる・強い腹痛を訴える
便に血が混じる原因の多くは、硬い便によって肛門が切れる「切れ痔(裂肛)」です。この場合、トイレットペーパーや便の表面に鮮やかな赤い血が付着します。
ただし、まれに腸の病気が隠れていることも否定できません。特に次のような症状があるときは緊急受診が必要です。
【すぐに受診すべき危険なサイン】
- お腹を抱えて泣き叫ぶほどの激しい痛み
- 痛みに波があり、強まっていく
- お腹がカチカチに硬く張っている
- 嘔吐を繰り返す(特に緑色の吐物)
- 顔色が悪く、ぐったりしている
- 便にいちごジャムのような血が混じる
これらの症状は、腸閉塞や腸重積(ちょうじゅうせき)など、命に関わる病気の可能性があります。不安に思ったら、すぐに医療機関を受診してください。
便秘の指標となるブリストールスケールとは?
ブリストールスケールとは、便の硬さを表す指標です。以下の7つの段階に分けられています。便の状態を○番と数字で伝えると、正確に伝わりやすいのでご活用ください。

子どもの便秘の主な原因

子どもの便秘は、単一の原因で起こるのではなく、食生活・生活リズム・心理的な要因などが複雑に絡み合って起こることが多いとされています。
ここでは、小学生に多く見られる便秘の4つの主な原因をわかりやすく解説します。
【子どもの便秘を引き起こす主な原因4つ】
①食事バランスの乱れ(食物繊維・水分不足)
②排便習慣が身についていない
③学校生活や心理的ストレス
④遺伝や体質による影響
①食事バランスの乱れ(食物繊維・水分不足)
現代のお子さんの食生活で不足しやすいのが「食物繊維」と「水分」です。パンや麺類が中心の食事では食物繊維が不足してしまいます。
さらに水分補給が足りないと便が硬くなり、これが便秘をさらに悪化します。
遊びに夢中で水分補給を忘れたり、汗をかいた後に不足することも多いため注意が必要です。

毎日の食事で栄養をバランス良く取り入れることが、子どもの便秘を防ぐための基本です。
②排便習慣が定着していない
生活リズムの乱れは、そのまま排便リズムの乱れにつながります。特に、朝食後は「胃・結腸反射」が働き大腸が活発に動き出す絶好のタイミングです。
しかし、朝食を抜いたり、トイレに行く時間が取れなかったりするとこのチャンスを逃してしまいます。最初は便意がなくても、毎朝決まった時間にトイレに座る習慣をつけることが、自然な排便リズムを整えるための第一歩です。
③学校生活や心理的ストレス
子どもの腸は自律神経と深くつながっており、環境の変化やストレスで働きが鈍くなることがあります。
例えば、入学やクラス替え、転校といった環境の変化は大きなストレスになります。また、「学校のトイレでは落ち着かない」「友達に知られるのが恥ずかしい」といった心理的要因から、学校で排便を我慢してしまうお子さんも少なくありません。
特に、神経発達に特性があるお子さんは、環境の変化に敏感で、実に80%が便秘の症状を抱えていたという報告もあります。(※2)ストレスは、腸のぜん動運動を抑えるため、まずはお子さんの気持ちに寄り添い、安心できる環境を整えることが大切です。
④遺伝的・体質的な要因
便秘には遺伝や体質も関係するといわれています。
実際に、便秘の家族歴がある子どもは、そうでない子どもよりも便秘リスクが約3倍高いと報告されています。(※3)
考えられる体質的要因には、「もともと腸のぜん動運動がゆるやか」「便意を感じにくい体質」「ストレスで腸の動きが止まりやすい」などがあります。体質はなかなか変えられないものですが、食事や排便習慣、生活リズムを整えていくことで改善します。
子どもが便秘になりやすい時期

便秘は生活環境が変わるタイミングで起こりやすくなります。
ここでは、特に注意したい3つのライフイベントに分けて解説します。
①学校生活のスタート・変化の時期
②長期休暇とその前後の時期
③家庭環境が変わった時期
①学校生活のスタート・変化の時期
入学や進級、クラス替えで生活環境が大きく変わり、便意を我慢する習慣がつきやすくなります。特に小学校入学の時期は要注意です。朝の支度で時間に追われ、落ち着いて朝食やトイレに行けなくなることがあります。
また、学校のトイレに抵抗があり「恥ずかしい」「授業中に言い出しにくい」と感じる子どもは少なくありません。こうした小さな我慢の積み重ねが、便秘の悪循環につながります。
②長期休暇とその前後の時期
夏休みや冬休みなどの長期休暇は、生活リズムが乱れがちです。起床時間や食事の時間が不規則になると、腸の動きも不安定になり、便秘の引き金になることもあります。
また、休暇明けに学校生活へ戻る際にも注意が必要です。「学校に行きたくない」といった精神的なストレスが、お腹の不調として現れることも少なくありません。
③家庭環境が変わった時期
引っ越しや転校、きょうだいの誕生、新しい習い事の開始など、家庭内の変化も子どもにとっては大きな出来事です。環境変化によるストレスは、自律神経のバランスを乱し便秘の原因になります。
一見すると便秘とは無関係に思える生活の変化が、実は原因のことがあるため、変化のサインを見逃さないようにしましょう。
子どもの便秘を放っておくとどうなるの?

子どもの便秘を放っておくと、直腸に便がたまったままになり、排便のサインを感じにくくなります。
その結果、出したいのに出せない悪循環が起こり、便秘がどんどん悪化していきます。肛門を硬い便がふさいでしまう「便塞栓」という状態になることもあり、この場合は横から泥状便や水様便が漏れて一見下痢のように見えることがあります。
便塞栓は除去が必要で、繰り返す場合は薬や生活習慣の改善が欠かせません。長期間便秘が続くと、大人になっても便秘に悩まされる可能性が高まります。
便秘は自然に治ると考えず、早めに医療機関へ相談することが大切です。
子どもの便秘対策5選

便秘を改善するためには、家庭でのケアを継続することが何よりも大切です。ここでは具体的な便秘対策について5つご紹介します。
①生活習慣を整える
②排便習慣を身につける
③食物繊維や水分を意識してとる
④お腹のマッサージを取り入れる
⑤適度な運度をする
①生活習慣を改善する
毎日同じ時間に寝起きすることで体内時計が整い、腸も規則正しく働きます。朝はゆったりと過ごし、朝食をしっかり食べることがポイントです。また、ストレスを溜めないようにお子さんがリラックスできる時間を意識的に作り、心と体を休ませてあげましょう。
<生活習慣改善チェックリスト>

②排便習慣を身につける
最初は便意がなくても構いません。毎朝決まった時間に5分トイレに座ることを習慣にしてみましょう。これを続けることで、体が「この時間はトイレに行く時間だ」と覚え、自然に排便リズムが整っていきます。
その際、お子さんがリラックスできるトイレ環境を整えてあげることも大切です。
自宅だけでなく、学校でもトイレするよう伝えることも大事になってきます。
仮に授業中でも我慢せずにトイレに行きたいことを担任に伝えれば、それは生理現象として認めてもらえます。
「トイレに行くのは当たり前のことだから、恥ずかしがらなくてもいいんだよ。」と伝え、トイレを我慢させないようにしましょう。
学校から帰ってきたら「今日はちゃんとトイレに行けた?」と確認して、行けたときは、自信につながるように褒めてあげてください。
③食物繊維や水分をとる
スムーズな排便のために、意識したいのが、「食物繊維」と「水分」です。食物繊維は以下の2種類の働きがあります。

両方の食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。例えば、朝食のパンをライ麦パンや全粒粉パンに変えたり、お味噌汁にわかめやきのこを追加したりするだけでも、手軽に食物繊維を増やすことができます。
また、便を柔らかくするためには十分な水分補給が不可欠です。朝のコップ1杯の水は、腸が刺激されて動き出すきっかけになります。
④お腹をマッサージする
おへそを中心に、ひらがなの「の」の字を書くように、時計回りにゆっくり優しくなでましょう。お風呂上がりや寝る前に行うと効果的です。スキンシップの時間にもなり、心も体もリラックスできます。
最近の研究では、肛門のまわりの筋肉を「キュッと締めて、ゆるめる」という運動が、子どもの便秘改善に役立つ可能性があることがわかっています。実際に、この運動を続けたことで、排便にかかる時間が短くなったり、お腹の痛みが軽くなったとの報告もあります。
遊びの延長として「おしりをキュッと締めて、5秒数えたらパッとゆるめる」といった簡単な方法から始めると、楽しく取り組みやすいでしょう。(※2)
⑤適度に運動をする
縄跳びやおにごっこ、親子で一緒にダンスなど、遊び感覚で体を動かすことが効果的です。最近の研究では、自宅で簡単な運動プログラムを取り入れることで、薬だけの治療よりも改善が見られたという報告があります。
毎日少しの時間でも、親子で一緒に取り組みましょう。(※4)(※5)
まとめ
子どもの便秘は、食事や運動、生活リズムといった日々の習慣が大きく関わっています。すぐに改善が見られなくても、焦る必要はありません。大切なのは、お子さんの心と身体のサインを見逃さず、できることから親子で一緒に取り組んでみることです。
ご紹介した対策を試しても改善が見られない場合や、強い症状があるときは、小児科などの専門家に相談することが大事です。ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、子どもの便秘症について相談を受け付けているので、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本トイレ研究所「小学生・中学生の排便記録2024」
- Halladay A, Croffie J, Dallman J, Grabenstatter H, Holingue C, Madgett K, Margolis KG, Motil KJ, Jimenez-Gomez A, Ferguson BJ, Moshiree B, Still K, Williams K, Upp GR, Bennett W.Conference proceedings: Inaugural meeting of the consortium for autism, genetic neurodevelopmental disorders, and digestive diseases.Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition,2024,79,5,p.1062-1070. 自閉症
- Velasco-Benítez CA, Álvarez Baumgartner M, Ortiz Rivera CJ, Velasco Suárez DA, Reynoso Zarzosa FA, Espriú Ramírez MX, Macías Flores JA, Zabra Córdoba RA, Chanin Aguilar RA, Mejía Castro MD, Rivera Suazo Y, Balda AN, Saps M.Disorders of gut-brain interaction are a common diagnosis among infants in gastroenterology practice in Latin America: A multicenter study.Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition,2024,79,5,p.969-975.
- Amir Soliman, Safy Eldin M. Aboali, Amal E. Abdel Karim, Sara A. Elsamahy, Judy Hassan, Badr Al Amir Hassan, Amira H. Mohamed.Effects of adding a home-based telerehabilitation program to pharmacological treatment on symptoms and quality of life in children with functional constipation: a randomized controlled trial.European Journal of Pediatrics,2024,183,9,p.3943-3958. プログラム
- Ansari-Chaharsoughi N, Davoudi M, Reyhani H, Haghdel M, Honar N, Naeimehsadat Asmaria N, Haghighat M, Dehghani SM, Shahramian I, Ataollahi M, Salehi S, Ziaei F, Imanieh MH.Comparison of the effects of Kegel exercises plus conventional treatment and conventional treatment alone in the management of pediatric functional constipation: A randomized clinical trial.Iranian Journal of Medical Sciences,2024,49,5,p.286-293.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
