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乳幼児健診に行かないとどうなる?見逃されるリスクと注意点を解説【ベスタの小児科医が解説】

市区町村から届く「乳幼児健診のお知らせ」。仕事や育児で忙しい中、「必ず行かないといけないの?」「もし行かなかったら、どうなるんだろう?」と、疑問や不安を感じている保護者の方も少なくないでしょう。
「罰則はないから大丈夫」と軽く考えていませんか?実はその判断が、ご家庭だけでは気づきにくい、お子さんの成長に関わる重要なサインを見逃す原因になるかもしれません。
この記事では、乳幼児健診に行かないことで生じうる4つの具体的なリスクと、どうしても行けない場合の対処法を詳しく解説します。大切なお子さんの未来を守るため、そして保護者の方が後悔しないために、ぜひ最後まで参考にしてください。
もくじ
まずは知っておきたい乳幼児健診の基本

乳幼児健診は、お子さんの健康状態や成長、発達の様子を専門家と一緒に確認する大切な機会です。それだけでなく、日頃の育児に関する不安や悩みを気軽に相談できる場でもあります。
費用は公費で受けられるものが多く、保護者の方にとっても心強い味方となります。まずは乳幼児健診がどのようなものか、基本的な内容から一緒に見ていきましょう。
乳幼児健診内容と標準スケジュール
乳幼児健診は、お子さんの成長段階に合わせてチェックする内容が変わります。お住まいの市区町村によって実施時期は異なりますが、一般的な乳幼児健診のスケジュールと内容は以下のようになっています。

乳幼児健診は、かかりつけの小児科や地域の保健センターなどで受けることができます。必ずお住まいの自治体からの案内を確認し、指定された場所や方法で受診しましょう。
乳幼児健診の目的
乳幼児健診の最も大切な目的は、保護者の方だけでは気づきにくい病気や発達の特性を早期に発見し、適切な対応につなげることです。お子さんは、自分から「なんだか見えにくいな」「耳が聞こえにくいな」といった不調を言葉で訴えることができません。
乳幼児健診では、医師や保健師といった専門家が、客観的な視点でお子さんの成長を丁寧に確認します。これにより、身体的な病気や発達の遅れなどのサインを見つけるきっかけになります。
乳幼児健診は、単に身長や体重を測って「順調ですね」と確認するだけの場ではありません。お子さんの健やかな未来のために、隠れた問題を見逃さないための大切な「スクリーニング(ふるい分け)」の機会なのです。
行かないことで法的な義務や罰則はあるのか?
「乳幼児健診は必ず行かないといけませんか?」というご質問をよくいただきます。結論からお伝えすると、母子健康法という法律に基づき、特に重要な節目である「1歳6か月児乳幼児健診」と「3歳児乳幼児健診」は、市町村に実施が義務付けられています。
保護者の方にも、お子さんに乳幼児健診を受けさせるよう努める「努力義務」が定められています。「義務」と聞くと少し堅苦しく感じてしまうかもしれません。しかし、乳幼児健診に行かなかったからといって、法律による罰則や罰金は一切ありません。
ただし、これは「行かなくても問題ない」という意味ではありません。なぜ一部の乳幼児健診が義務化されているかというと、その時期がお子さんの心と体の発達において、特に重要な転換期だからです。専門家による確認が、病気や発達の特性の早期発見に繋がりやすいのです。
そのため、受診しない状態が続くと、お住まいの地域の保健師から連絡が入ることがあります。「お変わりありませんか?何かお困りごとはありませんか?」といった確認です。これは決してご家庭を責めるためではなく、子育てで孤立していないか、支援が必要ではないかを確認するための大切な働きかけなのです。
乳幼児健診に行かないことで起こりうる3つのリスク

「仕事が忙しくて、どうしても指定された日時に行けない」「上の子の世話や自分の体調が優れず、外出自体が難しい」などの事情で、乳幼児健診の受診が難しいこともあるでしょう。法的な罰則がないため、つい後回しにしてしまうかもしれません。
しかし乳幼児健診に行かないことは、お子さんやご家庭にとってリスクです。ここでは、乳幼児健診を受けない場合に考えられる以下の3つのリスクについて具体的に解説します。
①病気や発達の問題の早期発見ができない
②専門家に相談する機会を失う
③予防接種の遅れや保育園の入園手続きに影響する
①病気や発達の問題の早期発見ができない
乳幼児健診の最も重要な目的は、ご家庭での様子だけでは気づきにくい病気や発達の特性を、早期に発見し対応することです。赤ちゃんは「なんだか見えにくい」「心臓が苦しい」などと、言葉で不調を訴えることができません。
乳幼児健診では、専門家が客観的な視点で丁寧に診察します。
病気や発達の問題は、日頃お子さんを一番近くで見ている保護者の方でも、気づくのが難しいものです。乳幼児健診は、お子さんの健やかな未来を守るための「早期発見のセーフティネット」として機能するので、必ず受けるようにしましょう。
②専門家に相談する機会を失う
毎日の育児では、たくさんの疑問や不安が生まれます。
- 離乳食を全然食べてくれない
- 夜泣きがひどくて、親も眠れない
- 言葉の発達が、他の子と比べて遅い気がする
インターネットで検索しても、あまりに多くの情報が溢れていて、どれが自分の子に当てはまるのか分からなくなってしまうことも多いでしょう。乳幼児健診は、こうした日々の悩みを専門家に直接、無料で相談できる貴重な機会です。
【乳幼児健診で相談できる専門家と内容の例】

乳幼児健診に行かないということは、こうした専門家からの的確なアドバイスを受けるチャンスを自ら手放してしまうことになります。一人で悩みを抱え込むと、保護者の方の心身の負担はどんどん大きくなりがちです。
子どものためだけでなく、保護者自身の安心のためにも、乳幼児健診というサポートの場を活用することが大切です。
③予防接種の遅れや保育園の入園手続きに影響する
乳幼児健診に行かないことは、健康チェック以外の面でも、間接的に影響を及ぼすことがあります。
一つは、予防接種のスケジュール管理です。生後2か月から始まる予防接種は種類も回数も多く、保護者の方だけで管理するのは大変です。乳幼児健診は、接種スケジュールが遅れていないか、次に何を受けるべきかなどを医師や保健師に確認できる機会となります。
この機会を逃すと、接種忘れにつながり、VPD(ワクチンで防げる病気)からお子さんを守るタイミングを逸してしまうかもしれません。
もう一つは、保育園や幼稚園の入園手続きへの影響です。多くの園では、入園手続きの際に母子健康手帳の提出を求められます。手帳に記載された乳幼児健診の記録は、園側がお子さんの健康状態や発達の様子を把握するための、重要な資料となるからです。
乳幼児健診記録がないと、お子さんにアレルギーや発達上配慮すべき点があった場合、その情報が園に正確に伝わらない可能性があります。お子さんが安心して園生活をスタートするためにも、乳幼児健診記録は大切な役割を果たすのです。
乳幼児健診に行けない・行かなかった時はどうすればいい?

「仕事が忙しくて指定日に休めない」「兄弟の世話で手一杯だった」「うっかり忘れてしまった」などさまざまな事情で、乳幼児健診に行けないことは珍しいことではありません。
ここでは、乳幼児健診に行きそびれた際の具体的な対処法をご紹介します。
乳幼児健診に行けない・行けなかったときにまずやること
自治体から案内された日時や場所での受診ができない時点で、まずは連絡をしてみましょう。多くの自治体では、保護者の方の事情に合わせた代替案が用意されています。
連絡先は、乳幼児健診の案内状に記載されている市区町村の保健センターや、子育て支援担当課です。「〇か月乳幼児健診の案内をいただいた〇〇ですが、指定の日時では都合が悪く…」と、正直に事情を伝えるだけで大丈夫です。職員の方が親身に相談に乗ってくれるはずです。
【考えられる代替案の例】
- 別の日程への変更
- 個別乳幼児健診への切り替え
- 保健師などによる訪問
「指定された日に行けないから」といって、乳幼児健診を受けないことがあってはなりません。代替案が用意されているので、必ず受診するようにしましょう。自費となる場合もありますので、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
乳幼児健診時期を過ぎてしまったら保健センターやかかりつけ医に相談
「気づいた時には、対象の月齢を大きく過ぎてしまっていた」このような場合でも、焦る必要はありません。お子さんの成長や発達を確認する機会を、今から作ることが可能です。
まずは、お住まいの地域の保健センターに連絡してみましょう。「〇歳〇か月ですが、〇か月乳幼児健診を受けそびれてしまいました」と正直に伝えることで、職員の方が状況に応じた対応を考えてくれます。例えば、次の年齢の乳幼児健診で併せて発達の様子を丁寧にみてもらえたり、保健師との個別面談の機会を設けてくれたりします。
また、かかりつけの小児科医に相談するのも良い方法です。小児科医は病気の時だけでなく、お子さんの成長や発達を継続的に見ています。乳幼児健診時期を過ぎてしまったことを伝えていただければ、その月齢で確認すべき項目を中心に診察や発達のチェックをします。
育児の不安や経済的な悩みも相談できる窓口一覧
乳幼児健診に行けない背景には、育児に対する孤立感や不安、経済的な問題など、簡単には話しにくい悩みが隠れていることもあります。乳幼児健診のことだけでなく、子育てに関する様々な悩みを相談できる公的な窓口があります。一人で抱え込まず、ぜひ活用してください。

これらの窓口に相談することは、特別なことではありません。子育ては一人でするものではなく、社会全体で支えていくものです。そのための制度や窓口を利用することは、保護者の方とお子さんの大切な権利なのです。積極的に活用していきましょう。
まとめ
今回は、乳幼児健診に行かない場合のリスクと、行きそびれた時の対処法について解説しました。
乳幼児健診は、お子さんの病気や発達のサインを早期に発見するだけでなく、保護者の方が日頃抱える育児の不安を専門家に相談できる機会です。
仕事やご自身の体調など、様々な事情で指定された日時に行けないこともあるでしょう。もし乳幼児健診に行きそびれてしまっても、決してご自身を責めないでくださいね。
ベスタこどもアレルギーのクリニックでは、乳幼児健診に対応しています。乳幼児健診に関してお悩みがあれば、ぜひお気軽に当院にご相談ください。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
